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2015年3月4日水曜日

エクサスケールコンピューティングの衝撃 -なぜ注目すべきなのか-

Written by HEDI.

ASEANマーケットとは一見関係なさそうですが、現在ASEANマーケットへ進出する企業の多くが「縮小する日本市場を補完するマーケット」をその進出理由にあげている中で、日本市場へ大きな(プラスの)変化をもたらすかもしれない技術を見ておくことはとても重要であると考えています。

日本はどの国も経験した事のない速度で人口急減と超高齢化社会を眼前に控えています。予想では、今後 50年 人口減少社会が続き(現状の出生率の水準が続けば)50 年後には現在の2/3規模の約 8,700 万人になる、とあります。しかもこの時、約4割は 65 歳以上の超高齢化社会を迎えるのです。

人口現象、人口オーナスの影響

(1)経済規模の縮小

経済規模の縮小は、経済活動の短期的な振れ幅(ボラティリティ)が外部要因に影響を受けやすくなることを意味します。外部要因とは、国際市場、為替相場、等ですが、より経済やビジネスの不確実性が増すこととなります。そして、日本という国の発言力・影響力が相対的に縮小します。やはり大きいマーケットを有するというのはそれだけで 影響力を行使する武器になり得ます。

(2)人口オーナス・負のスパイラル

労働者人口よりもそれに支えられる老齢者人口の比率が増える人口オーナスは、自然とイノベーションを生むための投資へまわす資金減少をもたらし、経済成長を鈍化させます。結果として労働者人口の負担が増え子供を生む余裕がなくなることで、より以上の人口現象を招く、経済が縮小する、といった負のスパイラルが生じます。他にも、自治体が財政が破綻・消滅する、などありますが、これはもうやむを得ないでしょう。東京などの都市部へ集中させ財政支出の効率化が必要となります。

エクサスケールコンピューティングの作り出す未来の例

エクサスケールコンピューティングは日本が直面する課題に対するソリューションを提供するかもしれません。エクサスケールコンピューティングは、近い未来は現在の延長には無い、特異点を経過した姿をもたらすとの見方があります。例えば、エネルギーフリーになる、食品が圧倒的に安価なる可能性などです。
しかし、やはりその中でも個人的にインパクトの大きいのは老齢化に対するブレイクスルーです。


人類は15年以内に老化をコントロールすることになる

下の写真はブルック・グリーンバーグという女性の写真です。この方は残念ながら20歳で亡くなられましたが、実は1.5歳ので成長が止まったままで20年間を過ごしました。右ではありません、左が20歳の彼女です。

 左がブルックさん。ブリックさんを抱いているのはブルックさんの妹。

ここで重要なことは『1.5年老化した後に、ある時点で老化が止まったと』いうことです。これは、受精卵状態の遺伝子操作コントロールでは無く、遺伝子スイッチ・代謝レベルでコントロールできる可能性を意味します。また、はっきりと実例が存在することで、機序解明のレールに乗せることができます。全く存在しない何かを創り出すプロセスでは無いのです。

人口オーナスは来ないかもしれない

老化をコントールできるということは、30歳時点でずっと生き続けることも可能ということです。30歳のまま20年働いた豊富過ぎる知識と経験に裏打ちされた体力あるビジネスマンが存在し得るということです。人間的にも成熟するでしょうし資産も作れるでしょう。労働収入より資産収入のほうが成長速度が速いわけですから、投下資本の投入期間・運用期間が長いほうが有利に決まってます。老後の心配はないわけですけれど。
これってすごくないですか?


エクサスケールコンピューティングはどのように貢献できるのか


先のブルックさんのメカニズムを解明するためには膨大な計算とシミュレーションが必要ですが、このシミュレーションに使われるのがスーパーコンピューターです。 スーパーコンピューターの価値は、規模が大きすぎる、組み合わせが膨大過ぎる、危険が伴う、地球上ではできない等、実験できないものをシミュレーション実験できることにあります。
  • 分子レベルの挙動を取り入れた心臓や肺のシミュレーター
  • 第一原理分子動力学計算に基づく化学反応過程の解明と電池の電極とその周りの電解質との反応の計算
  • 高分解能による全地球規模の積乱雲群との相互の関係解析

電気さえあれば、計算速度はどんどん上げられます。極端に言えば原子力発電所の隣にスーパコンピューターのビルを作り並列度を高めていけば、その処理性能を高められますが、そのためには高額なコストがかかります。つまり、これらの計算には高額なスーパーコンピューター利用のための資金が必要であり、資金調達が研究開発のボトルネックになっているわけです。

もし安価に利用できる(省電力で稼働する)スーパーコンピューターがあったら、どうでしょう。

研究開発のスピードが劇的に速まることは想像に難くありません。

次回は、 なぜ省電力で稼働させられるのか、を見ていきたいと思います(続く)。

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